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教育地域科学部・大学院教育学研究科2009年度優秀教員に
中澤達哉准教授が選出され、2月24日に授与式が行われました。

(2010年2月24日)

 このたび、2009年度福井大学教育地域科学部優秀教員の表彰を受けました。受賞者第1号ということで、大変光栄に思います。この称号に恥じぬよう、今後も教育・研究に励み、学生のみなさんの為に頑張りたいと思います。
 さて、この場を借りて、私の研究を紹介しましょう。みなさんもご存じの通り、近年の東欧では、ユーゴ内戦にみるように民族問題・民族紛争が多発し、流血の惨事が続いています。では、なぜ、東欧の人々は自らの民族や国民のために命を賭してまで戦えるのでしょうか。民族や国民は、いつから、その原理の名のもとに人々を戦争に動員できるほどの政治集団として認識されるようになったのでしょうか。いつから、国家の主役として認知されるようになったのでしょうか。その理由を知るには、彼らの近世史・近代史を紐解く必要があるのです。
 私はそのような問題意識のもと、大学院生の頃から約十数年間、研究を続けてきました。その成果として、平成21年度の科学研究費補助金(研究成果公開促進費)の交付を受けて、拙著『近代スロヴァキア国民形成思想史研究―『歴史なき民』の近代国民法人説―』(刀水書房、2009年)を出版しました。本書において私は、現在東欧諸国の一角をなすスロヴァキア共和国の歴史を検証し、18-19世紀のスロヴァキア人の国民形成思想について新しい見解を提示しました。スロヴァキア人などの民族集団が国家の主役として認識される際、近代の市民権や人権だけでなく、中世以来の伝統的な封建原理や身分制原理がこれに影響を及ぼしたことを解明したのです。近代スロヴァキア国民の特徴の多くは、中世の諸原理から継承されたのであり、私はそうした国民形成の理論を「近代国民法人説」と名付けました。これは、近代とは何かという根本的な問いを投げかけています。本書の一部は、現地の学術雑誌にもすでに掲載されました。また、いくつかの国際学会で報告する機会に恵まれ、幸い国際的にも高く評価されました。さらに、2010年春からはスロヴァキアの複数の大学で客員教授として講義を担当しています。

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