新しい時代に生きる子どもたちの未来をひらく教師をめざして

福井大学教育学部長
澁谷 政子

子どもたちを育てることは、新しい時代をつくる人、未来をひらく人を育てること。教育に携わるということは、持続可能な社会の発展を支えるもっとも大事な基盤をつくることでもあります。すぐに目に見える成果を求められたり、目先の現象のみで価値判断を迫られることも多い現代社会において、何年も先に花開き実を結ぶ将来をみつめる視点が、教育者には求められるでしょう。一方、このことは同時に、変化する時代の要請の本質を捉え、既存の枠組みに安住することなく、思考や感性をいつも柔軟に開いていくことが欠かせないということでもあります。常に若々しい精神をもち続けること、そして、もち続けられることが、教師という仕事の根幹であり魅力ではないでしょうか。

本教育学部は1949年の旧福井大学発足以来、70年以上の歴史をもち、一貫して地域社会に学校教員をはじめとする多くの人材を輩出してきました。2016年4月に「初等教育コース」と「中等教育コース」から成る新教育学部をスタートさせ、小学校・各教科・領域の高い専門性と教育現場における実践力を備えた質の高い教員養成に取り組んでいます。教科横断的な広い視点、主体的で協働的な学習の組織力と実践力、特別支援教育に関する専門的理解と実践力、ICTを活用した教育実践力、地域と学校の協働を推進する力など、今、求められるさまざまな課題に取り組み解決する力の育成に重点を置いたカリキュラムを編成しています。

こうした実績を踏まえ2022年に文部科学省から「教員養成フラッグシップ大学」に採択され、教員養成の在り方を変革していくための牽引役としての役割を担うことになりました。本学連合教職大学院とも連携し、学習者である子ども主体の学びという豊かな領野を開拓しながら、義務教育9年間を見通し学習観・授業観の転換を具現化していくことのできる教員、さまざまな関係者との協働のもと教育の多様性を開いていくことのできる教員の育成をめざし、より深く、より実践的な教育課程への改革を今まさに進めているところです。

また本学部附属の幼稚園、義務教育学校、特別支援学校では、こうした新しい教育課題に応える研究開発の場として、学部や連合教職大学院と連携し、教員養成、地域の教師教育、研修の拠点として、多くの意欲的な教育実践を展開しています。

本学部は全国の教員養成学部のなかでもコンパクトな規模ですが、小学校、中高10教科、特別支援学校、幼稚園の免許を取得できる体制をとり、教職諸理論と実践との往還を実現するカリキュラムを備えています。学生と教員の距離が近く、きめ細やかな指導も特徴です。これからの未来をかたちづくる新たな学校と教育を担うことを志す皆さんが、本学部で多くの仲間とともにさまざまな課題にとりくみながら、成長していけるよう、全教職員が一体となって支えます。子どもたちの未来、そして皆さん自身の可能性を、共にひらいていきましょう。