橋本 康弘

福井大学教育学部長

LiaisonからResonanceへ

― 次代の教員養成をともに創る

教員養成はいま、大きな転換点を迎えています。

中央教育審議会では、教科と指導法の一体化、理論と実践の往還、子ども理解、特別支援教育、教師のレジリエンス、AIや教育データ利活用などを重視した新たな教職課程の在り方について議論が進められています。

一方で、教員免許取得に必要な単位数は大幅に圧縮される方向にあります。

しかし、単位数を減らすことは、教育内容を薄くすることを意味してはなりません。

これから問われるのは、「何を削り、何を足すか」ではなく、「どのようにつなぎ直すか」です。

福井大学教育学部では、こうした変化を待って改革を始めたわけではありません。

令和4年度の教員養成フラッグシップ大学採択以来、教科と教職、理論と実践、大学と学校、異分野や異学年の協働を結び付ける「Liaison(リエゾン)」を基盤として、教育課程全体の再構造化に取り組んできました。

その中核を担うのが、フラッグシップ4科目です。

これらは新しい内容を付け加えるための特別な科目ではありません。既存の授業や実践を有機的に結び付ける「結節点」として機能し、学習者中心の学び、協働的探究、子ども理解、特別支援教育、地域との協働、STEAM教育、AI・教育データ利活用など、これからの教師に求められる資質・能力を育成しています。

現在、中教審で示されている方向性の多くは、福井大学がこれまで積み重ねてきた改革と深く響き合うものであり、次代の教職課程を支える基盤と、その運用を支えるノウハウは、すでに整いつつあります。

単位を減らしても、学びを減らさない。

「減らす・足す」のではなく、「つなぐ」。

それこそが、これからの教員養成に求められるマネジメントであると考えています。

そして、私たちが次の段階として目指すのが、「Resonance(共鳴)」です。

Resonanceとは、福井大学のモデルをそのまま全国に広げることではありません。

それぞれの大学が培ってきた歴史や文化、地域とのつながり、人的資源といった強みを生かしながら、互いの実践を響き合わせ、新しい価値を共創していくことです。

人口減少や教師不足、AIをはじめとする技術革新など、教育を取り巻く環境が大きく変化する中で、教員養成もまた、一つの大学だけで完結する時代から、大学、学校、教育委員会、地域、産業界が連携しながら発展していく時代へと移りつつあります。

福井大学教育学部は、教員養成フラッグシップ大学として、完成された「答え」を示すのではなく、これから全国の教員養成大学が直面する課題に対し、その知見や方法論を共有し、ともに新しい教員養成の姿を構想していきたいと考えています。

LiaisonからResonanceへ。
「つながり」から「共鳴」へ。

2040年を見据えて、次代の教師を育てる新しい教員養成の姿を、皆さまとともに創っていきます。